【がんと栄養管理】 体重が落ちてきたら?
日本人の死因の第1位は悪性新生物、つまりがんです。歳をとるほどがんになる可能性は上がっていくので、超高齢社会の日本では当然の結果かと思います。
がんになったら体重が減っていくというイメージをお持ちの方が多いかと思います。
そんな時ご自宅でどんな食事をしたら良いのかお伝えしていこうと思います٩( 'ω' )و
目次
1. そもそもなぜ体重が落ちてしまうのか
そもそもがんになるとなぜ体重が落ちてしまうのでしょうか。原因は色々とありますが大きく分けると食事を摂れないことと代謝異常による栄養不良の2つに分類することができます。
それらを更に細かく見ていくと以下のようになります。
食事を摂れない理由
①胃の不快感や体調不良
②精神的なストレス
③味覚の変化
④治療の副作用
代謝異常による栄養不良になる理由
①全身の炎症反応
食事を摂れないと必要カロリーの摂取ができないため、体重低下に繋がります。また、代謝異常により骨格筋分解の亢進、脂質分解の亢進が起こっても体重は低下します。この代謝異常が高度になると、栄養投与をしても有効に利用されず栄養不良は次第に不可逆的となってしまいます(>_<)
2. 食事のポイント
体重が落ちるとそれに比例して体力も落ちてしまうので、できるだけ食事は摂りたいところです。
そうは言っても食欲が無かったりするので、食べやすくするためのポイントをお伝えしていきます(^^)/
①本人が食べたい物
基本は本人が食べたい物を食べましょう。栄養をつけて欲しいからといって本人が好きでも無い物を出してもまず食べられません。インフルエンザで高熱が出ている時に色々食べられないのと同じです。
② 口当たりの良いもの
アイスクリームやゼリー、果物などの口当たりの良いものにしましょう。
③素麺やうどんなどの麺やお粥
普通の白ご飯だと食べにくいので、食べやすい麺類やお粥にしましょう。お粥には小付けを付けた方が食べやすい場合もあります。
④ジュースやスープ
噛むことが難しい場合はジュースやスープなど液体の物にしましょう。そのままだと飲み込みにくい場合は、トロミを付けましょう。
⑤冷たい物
暖かい食事だと匂いが鼻について気持ち悪いという方もいるので、冷やした物を出すというのも一つの手です。
⑥少なく盛る
沢山お皿に持ってしまうと量に圧倒されてしまったり、全部食べられないことから食欲の無さを自覚させてしまったりするので、全部食べきれるくらいの量を盛りましょう😀
⑦彩を綺麗に
見た目が綺麗だと食べてみようかなという気持ちが湧きやすくなります。これは誰にでも当てはまることですね!茶色のみの食事より彩が綺麗な食事の方が美味しそうに見えます😄
3. 栄養補助食品も活用しよう!
栄養補助食品にも色々あり急性期総合病院だと栄養補助食品だけで1つの倉庫が埋まるくらいの種類があります。
病院では患者さんの好みや状態に合わせ管理栄養士が栄養補助食品の組み合わせを考えるのですが、ご自宅ではそんなに種類を揃えても在庫が余ったりしたら困るので、がん患者さんに1番おススメの栄養補助食品をご紹介します。
アボットジャパンという会社から販売されているプロシュアという商品です。
1本220mlで280kcalのカロリー、たんぱく質14.6gが摂取できます。280kcalはご飯約お茶碗1杯のカロリー、たんぱく質14.6gは魚約1切れに相当します。
また、炎症と筋肉減少を抑える作用があるEPAも1.0g含まれています。これはイワシ2尾分に相当します。
1回で飲み切るのが難しけれ冷蔵庫に保管し数回に分けて飲んでも大丈夫です。ただ、衛生上の問題から24時間以内には飲み切るようにしてください。
実際私が働いていた病院でもがん患者さんに食事と一緒に提供していました(*^-^*)
4. まとめ
がん患者さんが食事だけで必要な栄養素を摂る事は非常に大変なことです。栄養補助食品も上手く活用していきましょう(*・ω・)ノ